

憲法7条5号
国務大臣その他の官吏の任免等の認証
【生徒】 国務大臣とは?
【弁護士】 国務大臣というのは,ここでは,内閣総理大臣以外の大臣のことを言っています。
【生徒】 たとえば,外務省のトップの外務大臣なんかは国務大臣ですか?
【弁護士】 そうです。
ほかにも,財務大臣とか,国土交通大臣とかも国務大臣です。
【生徒】 役所とは関係ない大臣っていませんか?
たとえば,少子化対策担当大臣っていうのもいると思いますけど,「少子化省」ってないもんね。
【弁護士】 いい指摘ですね。
内閣総理大臣は,そういう,省庁のトップではない大臣も,つくることができます。
正式には,内閣府特命担当大臣,という種類の大臣です。
【生徒】 名ばかり大臣なんですか?
【弁護士】 いえいえ,ちゃんと法律的に根拠のある大臣ですから,決して,名ばかりではありません。
こういう,内閣府特命担当大臣というのも,憲法でいうところの国務大臣になります。
【生徒】 「認証する」て書いてますけど,「認証」てなんですか? 任命とは違うのかな?
【弁護士】 そうですね,憲法上,認証と任命は,似ていますが,ちょっとちがいます。 任命というのは,「お前に任せた!よろしく!」というように,自分がその人に仕事を任せることをいいます。
【生徒】 たしか,天皇陛下は内閣総理大臣を「任命」するんでしたよね。
【弁護士】 そうです,よくおぼえていますね。
一方,「認証」というのは,他人がおこなった任命を「OK」と言うことです。
【生徒】 うーん,そうすると,内閣総理大臣は,外務大臣に「お前に任せた!よろしく!」といって,任命する。
それを,あとで,天皇陛下が「OK」と「認証」する。
ということになるんですね。
【弁護士】 そうです。自分が任命するのが「任命」。
他人が任命したことに「OK」を出すのが「認証」ですね。
【生徒】 天皇陛下が「あいつは嫌いだから認証したくない」と拒否することはできるんですか?
【弁護士】 拒否はできないんです。
拒否権があると,天皇陛下の意思にもとづいて,国務大臣を選択できることになってしまいますので,象徴天皇制とは矛盾することになってしまうんです。