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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第38条 不利益な供述の強要禁止、自白の証拠能力

38条2・3項
【弁護士】 38条2項は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白または不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と定めています。
簡単に言うと、被疑者または被告人の行った、自分の意思に基づかない自白は、証拠としないというものです。

【生徒】 自白って、テレビドラマでよく見る、あの自白ですか?取調室で、刑事さんがカツ丼を出して、「実家のお袋も悲しんでいるぞ」と言って、被疑者が「私がやりました」というものですか?

【弁護士】 そうです。本当に警察がカツ丼を出すか分かりませんが、警察がカツ丼ではなく、「お前がやったに違いない、お前が犯人だ!」とか、「ここで自白しないと、後でどうなる目に合うか分かっているだろうな!」と脅迫等を用いた後に、被疑者が「私がやりました」と言った自白は証拠として使えない、ということです。

【生徒】 捜査機関のやり方が汚いから、証拠として使えないということですか?

【弁護士】 そこは争いがありますが、君の言うとおり、捜査機関のやり方が違法だから証拠として使えないとか、脅迫等の後の自白は嘘である可能性が高いから証拠として使えないとか、自白の際に人権侵害があるから証拠として使えない、という説明がされます。

【生徒】 なるほど。
では、脅迫等以外の方法でなされた自白は証拠とすることができるのですか?

【弁護士】 場合によってはできません。
というのも、38条3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定されています。
簡単に言うと、本人の自白だけでは有罪とされない、ということです。

【生徒】 自白も一応証拠であるにも関わらず、38条3項が規定されているのはなぜですか?

【弁護士】 それは、いろいろ考え方がありますが、一般的には、自白に重きを置くことを避けるためとされています。
刑事事件において、自白は、証拠の王様とされています。すなわち、被疑者が「自分がやった」と言っているのであれば、間違いなく被疑者が犯人だろう、ということになるので、自白は非常に強力な証拠となります。自白が非常に強力な証拠だとすると、捜査機関はいかなる手を使っても、自白を手に入れようとします。酷い捜査がなされることもありえます。そこで、自白だけで裁判が行われることにならないよう、38条3項が規定されています。

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