

通信の秘密
【生徒】 憲法21条2項後段では、「通信の秘密は、これを侵してはならない。」と定められていますけど、これは電話を勝手に聞かれたり、手紙を勝手に見られたりしないという意味ですか?
【弁護士】 そうですね。郵便、電話、コンピューター通信などおよそ「通信」によるコミュニケーションに関する秘密を含むとされています。またコミュニケーションの内容のみならず、コミュニケーションの存在自体に関する事柄も含むとされています。
【生徒】 通信も一つの表現行為といえるので21条に定められているのですね。
でも、刑事ドラマなどで、警察が電話の会話を傍受しているのを見たことがあります。あれは「通信の秘密」を害していて、憲法違反となるのではないでしょうか。
【弁護士】 これも他者の権利利益を考えてみてください。ここでは警察の利益が問題となります。すなわち「通信の秘密」の保障を徹底すればするほど、警察が組織的な犯罪を暴き、市民の安全を守ることは困難になってしまいます。したがって、重大な組織犯罪に対処するために、一定の要件を充たせば例外的に通信傍受することを認めるべきということが言えるでしょう。このように「通信の秘密」と「犯罪捜査」の双方の調整を図った法律として通信傍受法というものが制定されています。警察はこの通信傍受法の要件を充たす場合に、「通信の秘密」を侵すことが例外的に認められるというわけです。