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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第21条 集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密
検閲の禁止

【弁護士】 憲法21条2項前段では、「検閲は、これをしてはならない。」と定められています。「検閲」とは何かわかりますか?

【生徒】 う~ん。チェックすることですか?すいません全然分からないです。

【弁護士】 チェック、いい線いっていますね!「検閲」の意味については実は憲法学上も見解が分かれているのですが、最高裁判所の定義によれば「行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査し、不適当と認めるものの発表を禁止すること」とされています。

【生徒】 難しくて覚えられないです。

【弁護士】 ここではひとまず、誰かが本などを出版する場合に、出版する前に国がその本に書いてあることをチェックして、国に都合の悪い物は出版させないというようなことを禁じていると考えてください。

【生徒】 先ほど説明を受けた表現の自由における自己統治・自己実現の価値からすると、絶対あってはいけないことですね!

【弁護士】 その通り。だからわざわざ憲法が規定しているんだね。では、君たちの使っている教科書、これは教科書検定というものを受けた物が使われているはずなのだけれど、教科書検定は検閲にはあたらないだろうか。

【生徒】 教科書検定って、国が教科書の内容を見て、国が教科書として認めたもののみ教科書として用いることができるようになるんですよね?あれ?これは思いっきり検閲に該当してアウトなような気がします。

【弁護士】 確かに検閲にあたりそうな臭いがプンプンしますよね。実際に教科書検定が検閲に当たると主張して裁判が起こったことがあります。そして、地方裁判所では検閲に当たると認定されたこともあります。しかし、最高裁判所では検閲にあたらないという判断がなされています。

【生徒】 なぜですか?

【弁護士】 それは、教科書検定を受けられないと教科書としての出版はできないけれど、一般書籍としての出版までは妨げられないからなのです。そうした発表の機会がある限りは、自己実現や自己統治はなお可能であるということでしょう。

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