

【弁護士】 憲法21条では、国民の知る権利も保障されているとされています。
【生徒】 21条の文言には含まれないように思うのですが、なぜ保障されているといわれているのですか?
【弁護士】 これは順を追って説明しましょう。まず、21条では表現の自由が保障されていますよね?では人が思想や意見を表明する前提として、そのような思想や意見の形成するきっかけを与えるものは何だと思いますか?
【生徒】 う~ん。人の話とか、テレビとか新聞とかですかね。
【弁護士】 それらはまとめると「情報」を提供してくれるものということが言えますね。つまり人が思想や意見を形成して表明する前提として「情報」を自由に得られることが重要となるのです。しかし今日では、国民にとって必要な情報は、国家機能の増大とともに政府あるいは集中化・独占化の進んだマスメディアに集中する傾向が顕著になり、個人が自分で必要な情報を収集することが困難となっています。そこで情報を保持する主体に対して情報の公開を求めることのできる権利を認めることが重要となってきました。こうした権利のことを「知る権利」と呼び、これは典型的な表現の自由を送り手側の自由と呼ぶのに対して受け手側の自由であると考えられています。
【生徒】 なるほど!じゃあ例えば自分が好意を持っている女性の私生活を知る権利も保障されるということになりますか?
【弁護士】 知る権利で想定されている場面は、主に自己統治の場面とされています。すなわち、広く公共的事項についての情報を受け、かつ求めることによって、政治的な意思を形成し、民主的な政治過程への参加を確保しようとの目的に出たものであるとされています。このように考えると、ある女性の私生活に関する情報の取得が保障されていると考えることは困難であるということになるでしょう。