

(1)集会の自由
【弁護士】 憲法21条1項では具体的に、集会・結社・言論・出版という言葉が用いられていますね。これらを少し見ていきましょう。まずは「集会」について見ていきましょう。
【生徒】 集会というのは、共通の目的を持った多数の人が一定の場所に集まることですよね?もしかしてこれも自己統治や自己実現の価値を持っているから、その自由が保障されているのですか?
【弁護士】 仰る通りです。集会は、国民が様々な意見や情報等に接することにより自己の思想や人格を形成、発展させ、また、相互に意見や情報等を伝達、交流する場として必要であり、さらに対外的に意見を表明するための有効な手段であるため、集会の自由は民主主義社会における重要な基本的人権の一つとして特に尊重されるべきとされています。
【生徒】 でも、公民館などで集会をする場合、許可を得なければならないことがあります。「集会の自由」があるのに何故なのでしょう?
【弁護士】 たとえば、次の事態を想像してみてください。ある二つの暴力団組織が激しい喧嘩闘争の真っ只中であり、一方の暴力団がどこかで集合すれば、直ちに他方の暴力団がそこを襲撃し、喧嘩が生じるとします。このような場合に、多数の住民が暮らす住宅地の中心にある市民会館で一方の暴力団が集会を開くとすれば、どのような事態が生じると予想されますか?
【生徒】 住宅地の中心で喧嘩闘争が生じて、付近の住民に危険が生じると思います。あっ!もしかして、先ほどの名誉やプライバシーの話と同じように、住民の人権を害するおそれがあるから、暴力団の「集会の自由」との調整が問題となるということですか!?
【弁護士】 その通り!しかもこのような事態は生じてしまってから対処するのでは遅いので、事前に対処しておくべきですよね?したがって、一定の場合には集会をさせないことができるように市民会館側の許可を要するとする取扱いがなされることがあるのです。