

【生徒】 憲法41条には「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と書かれています。まず、「国権の最高機関」というのはどういう意味ですか?
【弁護士】 「国権の最高機関」というのは、一般に政治的美称だと考えられています。国会は国民の代表機関であって国政の中心的地位を占めることを強調するほめ言葉ですね。
【生徒】 つまり、国会は僕たちの代表者である国会議員の集まりだということを強調したものなんですね。では、「唯一の立法機関」というのはどういう意味ですか?
【弁護士】 これは文字通り立法をすることができる唯一の国家機関だということです。これには、国会中心立法の原則と国会単独立法の原則の2つの意味があるんだ。
【生徒】 国会中心立法の原則というのは、国会による立法以外の立法は許されないというものですよね。国会単独立法の原則というのは、国会による立法は、国会以外の機関の参与を必要としないで成立することですよね。
【弁護士】 その通り。よく勉強してますね。国会中心立法の原則には例外として、議員の規則制定権(58条2項)と最高裁判所の規則制定権(77条1項、3項)が憲法上規定されていますね。これらは、議員と最高裁判所の自律性を確保するために例外とされています。
【生徒】 自律性の確保というのは自分たちのことは自分たちで決めるということですね!
国会単独立法の原則には例外があるんですか?
【弁護士】 地方特別法の住民投票(95条)が例外だとされていますね。これも地方公共団体の自主性を確保するためです。また、そもそもですが、「立法」とは国民の権利義務に関係する一般的・抽象的な法規範を意味すると一般的には考えられています。
【生徒】 「法律」という名前がついているだけでは「立法」にはならないということですね。
国会はすべての立法を行っているんですか?
【弁護士】 委任立法と呼ばれるもので、国会が法律を定めて、その法律の中で規則などに具体的な内容を委任することも認められていますね。憲法上73条6号が罰則の委任を許容しているし、専門的な事項は国会ではなくて、規則に委ねた方が合理的だからね。
もっとも、白紙委任は国会以外の機関が立法をしていることになるから許されない。
【生徒】 白紙委任は国会中心立法の原則に違反するんですね!
【弁護士】 その通り。「立法」はあくまで国民の代表者が行うべきだからね。白紙委任では官僚が法律を作ってることになりかねないからね。